自分から遠い声も参考にしよう

 健太です。

 題名にある「自分から遠い声」というのは、自分の声とは高さや質が違う声のことです。通常、他人の歌を参考にする際は、自分と同じ声部の人(ソプラノならソプラノ、バリトンならバリトン)を選ぶと思いますが、自分の声部とは異なる人も参考にしましょうというお話です。


 同じ声部を参考にする場合、長所を盗みやすいという利点がありますが、この利点は、その人の発声の本質を理解できていないのに、上辺だけ真似してしまいやすいという欠点にも繋がります。つまり、上っ面だけのものまねになりやすいです。上から見たら綺麗な寿司を、横から見たらシャリが崩れていたといったところでしょうか。


 異なる声部の場合、すぐに長所を盗むのは難しいですが、上辺のものまねができないので、本質を理解しようとします。「この人の歌は聴いていて心地よい。何故だろう?」と考え、「そうか、力づくで声を出そうとしていないからだ」と気付く。これを自分の歌に応用する訳です。私も学生時代、同期のテノール達の発声を参考にし、大いに得るところがありました。バス歌手のものまねをしなかったのは、今でもよかったと思っています。


 ときどき全然自分の声とは違う声も聴いてみましょう。何か発見があるかもしれませんよ。